サポート及び技術資料

マルチレーンについて

マルチレーンをもっと詳しく

Multilaneは業界の標準化団体「SFF Committee」にて正式に規格化された通信規格です。
次世代のSCSIテクノロジ「SerialAttachedSCSI(SAS)」の外部接続コネクタにも用いられておりまして、接続には主にInfinibandケーブル(x4)が用いられます。
ストレージに用いる場合には1レーン毎に1台のデータ転送に使用され、現在の一般的な仕様では4レーン(Infiniband x4)のケーブルを使います。従って1本のケーブルで4ポート(4台分)のデータを転送することが可能です。
ちなみにInfinibandは1レーン(x1)で2.5Gbps(双方向5Gbps)の転送能力を誇ります。現在ハードディスクの転送速度は15000 回転のSCSIモデルでも100MB/s前後でしょうから、2.5Gbps(250MB/s)の転送キャパシティがあれば十分まかなえる能力だと言えます。
余談ですがInfinibandケーブルにはこのほか12レーン(x12)ケーブルと1レーン(x1)ケーブルもあります。

ML_bulkhead.jpg

写真1:マルチレーンケーブル・コネクタボード(出典: Intel Developer Forum Fall 2003)

マルチレーンが何故今後増えてくると考えているのかというと、以下に挙げる要因の影響があります。

1)PC内部の空調
2)PC自体の電源容量
3)物理的なスペース

1)は最近のCPU消費電力の増大ですね。Pentium4以降になって100Wを超える物が多くなってきました。これはかなりの発熱量です。
これ以上のワット数だと空冷でまかないきれないので、Intel/AMDともギガ競争からは一歩引いてマルチコアやクロック数当たりの命令数UPに依る性能向上手法に軸足を変えてきています。

2)についてもCPUの消費電力に加えてグラフィックスボードのGPUの消費電力も最近はかなりの量です。これらが増大することによってHDDに供給出来る電力量は減少の一途を辿っています。

3)はケースにも依りますが、基本的にATXやマイクロATXを使う限り避けられない問題です。1、2台ならまだしもRAIDアレイを組むために複数台搭載していくと1)の空調の問題にも突き当たります。PC(ハードディスク)が壊れる原因の一つに熱の問題があり、狭いスペースでしかも他に発熱する機器(CPU・GPU・チップセット・電源等)が一緒に入っているケースでは、HDDにも熱による影響は避けられません。(当然HDD自体も発熱しますが)

multilane.jpg
図1)マルチレーン接続構成図 (クリックで拡大)

マルチレーン接続以下の点でメリットがあります。

1)圧倒的な帯域幅
2)ケーブル長
3)信頼性の高いケーブル

1)は前述の通りInfiniband(x4)ケーブルでは10Gbps(双方向20Gbps)の帯域幅を誇ります。
2)ですが、Multilaneケーブルは現在市販されているものはInfiniband(x4)ケーブルでは5mの物もあります。 (技術的には10m以上も可能だそうです) Serial-ATAの外部接続規格「eSATA」は最長2mですので、かなり長くすることが出来ます。※但し2mを超えるケーブル長を使う場合はHDDがSAS(Serial Attached SCSI)である必要があります。
3)についてはInfinibandケーブルはスクリュー(ねじ)式もしくは差し込むラッチ式のケーブルですので、強固に取り付けることが出来ます。不意の状況で抜け落ちたりするということがまずありません。またInfinibandケーブルは信号の伝達性も優れており、非常に信頼性の高いケーブルです。

以上の様な理由で今後PC−外部ストレージ間で多く使われていく規格だと思われます。

当店ではマルチレーン対応ストレージとして「NS-750S」「NS-370S」他ラックマウントシリーズ、マルチレーン関連商品としてPCケースのリアスロットに取り付けるマルチレーンコネクタボード「ML-SATA4-HOST」とこれに対応するデバイス側用ボード「ML-SATA4-DEV」、マルチレーンケーブル「ML-SATA-1M」「ML-miniSAS-1M」「ML-CONV-mini1M」等を販売中です。
また、マルチレーンコネクタを搭載したカードとしては、LSI社製「3ware9750シリーズ」Areca社製「ARC-1882ixシリーズ」などが現在販売中です。
このほか、多くのメーカーからマルチレーンコネクタを装備したRAIDカードがリリースされています。
MAXSERVEでは今後もマルチレーン接続のストレージラインナップを最速で皆様にご紹介して参ります。

マルチレーンQ&A

Q1.マルチレーンってこれまでの接続方式と違うの?

A1.Serial-ATA/SAS(Serial Attached SCSI)やパラレルATA、USBにFirewire等々、様々な接続方法がありますが、マルチレーンはあくまでSerial-ATA/SASの信号を流すものです。
従って接続方式(形状)は違いますが、基本的にはSerial-ATA/SASと変わるものではありません。
マルチレーンで接続されたデバイス(HDD)は内蔵のHDDと全く同様にOS側から見えますし、信号はSerial-ATA/SASのまま流れてきますのでUSB接続した時の様にスピードが仕様の為に落ちる、ということもありません。

Q2.Multilaneと言ったりInfinibandと言ったりするけど...

A2.マルチレーンはA1でお答えした通り信号を流す規格ですね。その際に何のケーブルを使うかとなったときにInfinibandケーブルを使う事にしたのです。
Inifiniband(x4)ケーブルは1本で10Gbps(双方向20Gbps)の転送速度を誇り、バイトに直すと1GB/s。ハードディスクの信号を流すには十分過ぎる帯域です。

Q3.コネクタの種類が色々あるようですが。

A3.仰る通りです。現在使われているコネクタだけで外部・内部規格合わせると4種類にもなります。
これまでは主に「SFF-8470」で規格化されたスクリューまたはラッチタイプのコネクタが主流でしたが、今後は段々と「SFF-8088(外部規格)」と「SFF-8087(内部規格)」のいわゆる『mini-SASコネクタ』と呼ばれる、コネクタが小さいタイプのものに移って行くものと思われます。
実際に現時点でRAIDカードの多くにはこのmini-SASタイプのコネクタが実装されています。

tech_info_clip_image01.jpgSFF-8088 (外部miniSAS)tech_info_clip_image02.jpgSFF-8087 (内部miniSAS)tech_info_clip_image03.jpgSFF-8470 (外部スクリュー)

Q4.ポートマルチプライヤとはどう違うの?

A4.基本的な考え方(転送方法)が違います。信号を受け持つ層が違うとも言えるでしょう。
マルチレーンはあくまで信号を通す物理的な規格ですが、ポートマルチプライヤは信号を束ねる電気的な規格が入ってきます。

・マルチレーンは信号をそのまま手を加えずに流す。
・ポートマルチプライヤは信号を一旦一つの信号にまとめて流す。

という形になります。
また、デジタルカメラで写真を撮られる方でしたら「RAWデータ」という言葉をご存じかと思います。
マルチレーンで流すデータはSerial-ATAの信号そのままの、いわゆる「RAWデータ」と言えます。

ポートマルチプライヤは信号を束ねる為にコントローラが取りまとめをおこないます。
そのための変換作業が入るので、受ける側(ホストカード)にも対応するチップ(コントローラ)が必要なのです。

また層が違うということは、マルチレーンとポートマルチプライヤは相容れる技術です。
例えばポートマルチプライヤでエンクロージャ側で束ねた信号をマルチレーン接続して、ポートマルチプライヤ対応のホストカード側で受ける事が出来ます。(例えばNA-710Cを4台用意してマルチレーンファンアウトケーブルでホストカードと繋ぎ、HDDを20台認識させる、等)

Q5.マルチレーンとポートマルチプライヤ、どっちが良いの?

A5.これはコストを重視するか、パフォーマンスを重視するか、に依ります。
コストを重視すればポートマルチプライヤでしょう。何より対応するSerial-ATAカードが安価です。
但しOS側のサポートが必要です。

パフォーマンスを重視するならば、マルチレーンに軍配が上がります。
生データのままホストカードまで信号を持ってきてRAIDを組みますから、組み合わせるハードディスクの台数に応じて圧倒的なパフォーマンスが期待出来ます。

ポートマルチプライヤでもハードウェアRAIDが出来るカードがもっと出てくれば良いのですが、現状殆どありません。
またMacOSXではそれなりにスピードは出るのですが、今の所(2006年9月現在)Windows上のSiliconImageから出されているソフトウェアRAIDツールでRAIDを構築した場合、スピードが100MB/s程度に抑えられています。(何台で組んでも)
ドライバに問題があるのか、OS側に問題があるのかはっきりしていませんがMacOSX上ではちゃんとパフォーマンスが出ているので、これらの問題も今後解消されることでしょう。

SAS Expanderについて

更に大容量のストレージを組むためには

マルチレーン技術を使えば多くのハードディスクでRAIDアレイを組むことが出来、大容量のストレージを構築することが出来るということは分かりました。しかしここで壁にぶつかります。それは「マルチレーンはRAIDカードのポート(チャンネル数)を超えたハードディスクは接続することが出来ない」ということです。
現状24ポート位のRAIDカードがポート数のMAXでしょう。つまりそのカードを使用した場合、24台までのハードディスクを繋ぐことしか出来ない訳です。
ではPCに接続出来るハードディスク数はそれが限界なのでしょうか?いいえ、方法は幾つかあります。
例えばRAIDカードを複数枚ホストPCに搭載する。これは単純な方法ですが意外と難しいです。何故ならPCI-Expressのスロット(大抵x8の帯域を使用する)が複数スロット無い場合が多いからです。

DAS系超大容量ストレージの最適解 - SAS Expander

そこで登場するのが「SAS Expander」です。
SAS Expanderエンクロージャを利用すればRAIDカードのポート数を超えるハードディスク数を認識させることが出来ます。具体的にはRAIDカードの仕様に依りますが100台以上のディスクを認識させることが可能です。
詳しくはSAS Expanderエンクロージャ製品のサイトを参照くださいませ。

SAS Expander Q&A